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文化施設
最上川美術館(旧 真下慶治記念美術館)
- 構造設計
- 施工
- 材料製作
- 意匠設計
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- 施工
- 材料製作
- 意匠設計
- 設計 高宮眞介/計画・設計工房
- 所在地 山形県村山市
- 敷地面積 2,755.00㎡
- 建築面積 707.00㎡
- 延床面積 602.00㎡
- 階数 地上1階
最上川の風景を感じる美術館
山形県の母なる川「最上川」をこよなく愛した洋画家真下慶治画伯は、最上川をテーマに生涯取り組み、数多くの作品を残した。「真下慶治記念美術館」は、この貴重な作品群を通して、最上川の優れた景観や文化を広く伝え、多くの人々の感動と交流を創出するために計画した。建設地として最上川の大蛇行部(大淀)を一望できる高台が選ばれた。
展示空間と建築意匠(さりげない気遣いの集積)
展示室は、三角形トラスの張弦張り。下弦材には化粧LVLを全部で52枚使用している。下弦材に照明を取り付け、間接照明とすることで温かみのある空間を演出し、かつ下弦材のたわみ防止材としている。構造材を意匠としたKES構法の特長的な施設である。また、ユニバーサルデザインにより、利用者に優しく、ペレットボイラー使用により、環境にも優しい施設である。外壁には地場産杉材を使用。鉄板との混合でバランスを調整しながらランドスケープとの調和を目指した。テラスは、地元住民の協力のもと、地元の楯山石を使用することで実現した地元還元の施設である。
第13回公共建築賞 優秀賞受賞作品
施設は、真下画伯がテーマとされた最上川を一望できる丘の中腹、尋常小学校跡地に建設され、理想的なロケーションである。敷地内の桜をすべて残し、林野庁の補助事業を活用し、主たる建物を木造、市産材木材の活用など、作品と立地、建物が素晴らしく調和している。建物は小規模ながら、最上川を見下ろすテラス、各種イベントが行われる多目的室、絵画の常設展示室など、各々が求められる最良の空間を造り上げている。屋根が同じ張弦梁の構造でありながら、施設の奥に向かう空間の断面が変化する展開も興味深い。現在は産出されない地元の楯山石を市民に呼びかけ産出してもらい加工、テラスや玄関のアプローチに使用し、市産材の杉を外壁に活用するなど地元の文化をよく表出している。絵画の展示にとどまらず各種イベントが企画され、屋外テラスは地元住民の集いの場となっており、地元住民に愛される施設として評価される。